NORIANDHIRO トレイル紀行

アメリカ南西部 バックカントリーの旅

ヨセミテ トレイル 1/3
Wilderness Trip of the Sierra Nevada and Surrounding Areas Next

- Yosemite National Park -

ヨセミテのトレイル
写真はグレーシャー・ポイントから見たハーフドーム
ヨセミテ国立公園には,1,300km以上の登山道(トレイル)がある。標高1,200mのヨセミテ渓谷から,2,700mの高原地帯,さらには,3,500mを越す高山へと変化に富んだ山歩きが楽しめ,日帰りのハイキングから,数日をかけたバックパッキングまで,それぞれの体力や経験に合わせたコースが選べる。公園内のほとんどは,ウィルダネスと呼ばれる自然保護区で,泊をともなう登山は,ウィルダネス・センターで許可をとらなくてはならない。それぞれのトレイルには,一日の入山者の枠があり,それ以上は許可されない。また,キャンプ地や飲料水の確保,動植物への注意などの規則を守ることを義務付けられる。

○ヨセミテ・バレーの日帰りハイキング
・ミラー・レイク
ミラー・レイクは,ヨセミテ渓谷の奥バス停17番,ミラー・レイク・トレイルヘッドで降りる。トレイルは,舗装路と砂地の平坦なトレイルで普通の運動靴で快適に歩ける。湖面に反射するハーフ・ドームが魅力で,テナヤ・クリークに沿って静かなハイキングが楽しめる。水が少なくてハーフ・ドームが映らない時もあるので,ビジター・センターで確かめてから出かけてほしい。往復約2キロ,1時間。
・ミスト・トレイル
ミスト(霧)・トレイルは,バーナル滝の水しぶきを浴びながら滝つぼの淵を歩く。バス停16番のハッピィ・アイルズで降り,バーナル滝が正面に見える橋までは舗装路された登り坂を歩く。滝に近づくと水しぶきが容赦なく降り注ぐため,すぐに涼しさを通り越してしまう。濡れたくない人はレインコートの準備。往復5キロ,2〜4時間。更に1時間歩くとネバダ滝に着く。ジョン・ミューア・トレイル経由でも滝に着く。
・フォー・マイル・トレイル〜グレーシャー・ポイント
センチネル・ビーチの反対側からグレーシャー・ポイントまで,渓谷の南東側の斜面に刻まれたスイッチバック(九十九折)の登山道を歩く急なトレイル。登るにしたがいエル・キャピタンの岩壁やヨセミテ滝の雄姿が楽しめる。ヨセミテ・ロッジなどからグレーシャー・ポイントまでバスが通い,下りだけ歩くこともできる。バス亭はE5番。バスの数が少ないのでヨセミテ・ロッジからなら歩いた方が早いこともある。往復15キロ,6〜8時間。
・ヨセミテ滝頂上〜ヨセミテ・ポイント
ヨセミテ・ロッジの近くのキャンプ4にトレイルの入り口がある。渓谷の北西に刻まれたトレイルは陽当たりがよく,暑さと歩きにくい砂地に苦しむ。途中アッパー・ヨセミテフォールの落下地点があり,滝つぼの近くまで下りていけるが,水量の少ない夏は,落ちる前に霧になってしまう。滝つぼの辺りは滑りやすいので注意。更に登ると渓谷の建物や車がミニチュアのように小さく見える。ヨセミテ滝の頂上は森の木々で覆われ,渓谷の底から草のように見えた木は,見上げるような大木である。往復12q,6〜8時間。ハーフ・ドームを正面に臨むヨセミテ・ポイントへは,往復3q,2時間の道のり。暑さ対策のため,十分な水の準備と早朝の出発がお勧め。

○ツオルミ・メドウスからのバックパッキング
・グレン・アーリン
ツオルミ・メドウスの広大な草原を横切り,ツオルミ川の清流と豪快な滝(写真ページ参照)の並ぶグレン・アーリンを往復する。ほとんど平坦で,ツオルミ・メドウスを早朝に出発すれば昼には着き,午後は滝めぐりができる。一番遠いウォーター・ウィール滝まで約6q,帰りは登りになるので注意。グレン・アーリンのキャンプ地は,仮設テントの山小屋「ハイシエラ・キャンプ」の奥にある。トイレと水道があり,水のろ過器は不要。片道9q。
・サンライズ〜ヨセミテ・バレー
ツオルミ・メドウスからジョン・ミューア・トレイルでヨセミテ渓谷に降りる2泊3日のコース。ツオルミ・メドウスから急な登りが2か所ほどあるが,カセドラル峠付近はなだらかで,いつの間にか通り過ぎてしまう。この付近に水が少なく,途中のカセドラル湖は水の補給とランチに最適な場所だ。正面に草原が広がり,右手にテントキャビンが見えればそこがサンライズ。キャンプサイトは,トレイルの北側の草原を見渡す高台で,トイレと水道がある。約16q。
2日目の最初の2qは登りで,あとは森林地帯を下る。2日目のキャンプ地は,リトル・ヨセミテ・バレーでトイレがある。水はマーセド川からとるため,ろ過器か消毒薬が必要。約14q。
3日目は,ネバダ滝とバーナル滝の雄姿を楽しみながら下る。ネバダ滝からは滝を見下すジョン・ミューア・トレイルと滝の近くを歩くミスト・トレイルを選べる。リトル・ヨセミテ・バレーから6qでトレイルの始点ハッピィ・アイルズに着く。

○宿泊と交通
先着順で利用できるキャンプ4は,ヨセミテ・ロッジの近くにある。1つのサイトを6人で共有するが,午前中に満員になることもある。その場合ノースパインの一般のキャンプ場の奥にあるバックパッカー専用のサイトに行く。そこは場所的に不便だが,バックパッキングの前後の一泊に利用でき,人数制限がない。ツオルミ・メドウスでは,グループサイトの奥にバックパッカー専用サイトがある。車で来た場合,キャンプ4には共有の駐車場があるが,ノースパインは,カレービレッジの駐車場に置いてかなり歩く。また,ツオルミ・メドウスのバックパッカーサイトでも,レンバート・ドームの近くのダートの車道に駐車するか,ウィルダネス・センターの駐車場に置いて歩くしかない。
バレー内のシャトルバスは無料。中心部以外は一方通行で,歩いた方が早い場合もある。ツオルミ・メドウスへは,ヨセミテ・ロッジなどから1日1往復のバスが出ている。途中,何箇所か停車するが,運転手に頼めばどこでも降ろしてくれる。また,ツオルミ・メドウスを中心に,オルムステッド・ポイントからタイオガ峠まで無料のシャトルバスが走っている。

○許可証
 パーミットと呼ばれる許可証は,60%が半年前からの予約で,のこりの40%は出発日の前日から先着順に交付される。予約が取れなくて,どうしてもその日に出発したい場合は,ウィルダネス・センターが開く前(夏のシーズンは7時)から並ぶ。許可証は日帰りのハイキングの場合は不要。
 許可証をもらえる条件として,様々なルールを守ることであるが,ヨセミテでは,フードキャニスター(ジョン・ミューア・トレイルのページ参照)と飲料水の浄化が義務付けられる。フードキャニスターは,熊に人間の食べ物を与えないためのもので,ウィルダネス・センターでレンタルできる。水の浄化は,シエラネバダに広く生息する微生物「ギアルデア」による深刻な腹痛を防ぐためのもので,消毒薬でもよい。

○山用品店
 ガスカートリッジなど燃料は,カレービレッジのマウンテン・ショップやヨセミテビレッジのスポート・ショップ(スポーツ用品店)で購入できる。また,浄化装置やフードキャニスターのほか,蚊よけスプレーや虫除けネットなど,一般的な物なら手に入る。ツオルミ・メドウスのガソリンスタンドにも,小さなスポート・ショップがある。

○シャワーと洗濯
 公共のシャワーとコインランドリーは,バス停12番のホースキーピングキャンプにある。シャワーだけなら24時間オープンのカレービレッジが便利。
*これらの情報は,季節や施設の状況により変化するため出発前にヨセミテ国立公園の新聞「ヨセミテ・ガイド」の最新版をチェック。




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